精密検査してきました。【長いです】

アメリカの下剤は強力です。

本日、大腸内視鏡の精密検査を受診してきました。結果はシロ、問題なしでした。家族には心配をかけてしまい、申し訳なかったです。せっかくアメリカで受診したので、その内容を忘れないうちに書き留めておこうと、ブログにUPしてみました。


前のブログでも触れましたが、日本一時帰国の際に定期健康診断を受診しました。(参照:1/8 食の質と量の関係)各数値に問題はなかったのですが、一項目で「E:要精密検査」判定が出ました。便潜血が確認されたとのことです。(お食事中の方、申し訳ありません。)事前の2回のテストで−+だったそうで、紹介状を書いてくださった検査機関の先生がおっしゃるには、「たまたまの可能性も高いですが、内視鏡検査をおすすめします。」とのことでした。数日後に日本を発つ予定を話すと、「英文の紹介状は出せないしアメリカの医療システムが分からないけれど、あちらで受診されるといいのでは」とおっしゃりました。別の先生にも伺ったところ、「再検査して次回の検便テストが仮に陰性だったとしても、一度は陽性反応が出たことは事実だし、内視鏡検査の技術はアメリカの方が進んでいるから、頑張ってやってみたら」、というお答えでした。先生方のおっしゃることはごもっとも、内視鏡経験のある母からも「ポリープが見つかってもその場で除去できるし、大腸ガンは早期発見で完治するから受診しておけば」というすすめもあり、大腸内視鏡(Colonoscopy)をアメリカで受診することを決めました。いい結果でも悪い結果でも、はっきりしないと何となく落ち着かない感じでしたので、やることが決まってホッとしました。


ただ、日本で受診するのと違い、アメリカと日本の医療保険・システムの違いや、英語の壁が重くのしかかります。とりあえず、近所に住む知人から情報収集することになりました。



【ドクターを探すまで】
アメリカでは、各家庭でFamily Doctorを持っているのが普通で、精密検査や専門機関での治療はそのFamily Doctorを通して紹介してもらうのが通常ルートとなります。幸か不幸か、私たちはこちらに来てお医者にかかるような事態に陥らなかったので Family Doctorを持っておらず、まずはFamiliy Doctor探しから始まりました。近所にお住まいの日本人の方に、そのお宅のFamily Doctorを紹介いただきましたが、私たちの加入している保険の取り扱いがなく、諦めました。そう、アメリカの健康保険は任意加入で、日本のように全国どの医療機関でも使える「国民健康保険」というシステムはありません。アメリカに住む皆さんは様々な民間企業の健康保険に入っており、病院も扱う保険会社を指定しますから、例えば広告や目にとまった病院にすぐ駆け込むことはできません。ただでさえ高額なアメリカの医療費ですから、自分の保険がカバーされていない病院を選ぶことはありえないのです。


その後、夫が会社のアメリカ人上司に伺ったところ、ご夫婦ともに大腸内視鏡検査をしたことがあるとのこと。奥様の病院の方がよかったとそうで、その病院の詳細を教えていただきました。そして、ちょっと禁じ手ながら、直接その内視鏡専門機関にアプローチすることにしました。どの病院も「飛び込み」はありえないアメリカ、まずは病院に電話をかけて夫が私の状況を説明し、受診可能かを聞きました。ラッキーなことに保険もOK、希望する先生のアポがとれました。その後は、その専門病院のサイトをチェックし、問診表を予めダウンロードして既往症などの専門用語を辞書で調べ、検査手順を把握するなど、事前準備をしました。


【初診 1/25】

町中の医療ビルを訪問。ホテルロビーのようなゆったりとした受付で書類記入。アポをとっているので待ち時間はほとんどなし。名前を呼ばれて、廊下でいきなり体重測定、その後ベッドと机のある小部屋に通され、看護師さんに血圧を衣服の上から測っていただく。いくつか質問に答える。次にアシスタントドクターがいらして、非常にリラックスした雰囲気の中、色々とヒアリングを受ける。また、詳細な内視鏡検査の手順を説明していただき、ベッドで聴診器を当てられ(これも衣服の上から)、「何か質問が出てきたら電話してください」と言われる。その後、威厳のあるドクターが入室、ヒューストンや日常生活についてなど軽く会話して、検査は心配しないでくださいと丁寧にご挨拶していただく。最後に、再び看護師さんが登場し、スケジュール調整をして、次の木曜日が検査日と決定。人が入れ替わり立ち代り、スムーズに初めての診療が終了。全部合わせて、1時間半くらい。


アメリカの大腸内視鏡検査、日本との一番の違いは、下剤2瓶を近所の店で購入し、家でおなかをすっきりさせてから病院に行くということ。この下剤 "Fleet Phospho-soda"(右上写真)が本検査のポイント。実はこの下剤は日本では認可されていません。理由は、老人子どもには効果が強力すぎるからだそうです。よって日本では、通常2リットルにも及ぶ別の下剤を飲まなくてはならず、それがこの検査を「苦しい」ものにしている一因のようです。私が飲んだ下剤は、1瓶1.5oz(25g)で45mlの量、お値段も2瓶買っても1000円しません。(味は非常にまずかったです)日本でも、条件付きでもこの Fleet Phospho-sodaが解禁になれば、もっと楽に検査を受けられると思いますし、それは色々な病気防止にもつながるのではと素人ながら考えてしまいました。


【検査4日前 1/27】

注意事項が書かれた文書より、食事制限開始。コーンや豆類や硬い種やナッツ類は禁止。アスピリンも止めること。


【検査前日 1/30】

基本的に絶食。ただ、牛乳と赤や紫色の飲み物やアルコール類を除いて、飲むこと自体はOK。一等最初に、「コーク・スプライト・ジンジャーエールなどのソフトドリンク」が可、と書いてあるのはいかにもアメリカらしいというか。検査前のCokeってあまりよくない気がするけど。ストレートティーやブラックコーヒー、ブロス、アップルジュースはいいとのことなので、飢えることはないと思うが一抹の不安。一応、指定された栄養ドリンクも購入してみたが、結局は飲まず仕舞い。緊張も手伝ってか、心配するような空腹感は訪れず。

18:00 1瓶目の下剤(全部)を、12oz(340cc)の水に溶いて飲む。ま・ず・い・・・
24:00 就寝。これまでに、少なくとも2杯以上の水分をとる。


【検査当日(出発前) 1/31】

4:00 2瓶目(2/3のみ)を12ozの水に溶かして飲む。やっぱり、まずい。。。
5:00 これまでに、さらに透明な水分を少なくとも2杯以上飲み、検査終了までNo Food、No Drink。
7:10 さすがに、4時から眠れず、自宅出発。


【検査当日(病院にて) 1/31】

8:20 病院到着。チェックイン、問診表を書く。
8:50 大部屋のカーテンで仕切ったベッドに通され、様々な承諾書にサイン(輸血や送迎者など)。
9:00 後ろ開きの手術着に着替え、夫は退出、手の甲から点滴開始。
9:25 ベッドごと処置室へ運ばれ、心電図計や血圧計など設置される。
9:50 先生が到着、すぐに左半身を下に体を起こされ、麻酔薬を上記手の甲から注入。
<1分ほどで熟睡したもよう。一切記憶なし。>
10:20 最初の大部屋に戻っている。夫が待合室から来る。処置レポートを夫が受け取り読む。
10:30 先生がいらして、問題ない旨を通知。
10:40 車椅子で看護師さんに駐車場まで連れていっていただく。乗車して帰宅。


一番の難関は、やはり下剤のまずさでしょうか。日本の皆さんが2リットルも下剤を飲まれているのは、本当に尊敬します。トイレ通い自体は、そう辛いものではありませんでした。前日が絶食状態ですし、そう出るものもありません。(お食事中の方、再び申し訳ありません。)絶食自体も、その日一日忙しくしていたせいか、そう気になりませんでした。ちょっと体温が下がっているとかは感じましたが。


何より感激したのは、検査で痛みを全く伴わなかったこと!全身麻酔は危険という話もありますが、目が覚めたらすべて終わっていたというのは素晴らしくハッピーな気分でした。日本で胃カメラや盲腸開腹手術の経験があり、ある程度の痛みがあるというのは必要と知っていますが、やっぱり無痛というのは魅力的です。余計な力を使わず、体力温存にもつながりました。麻酔は1時間以内に切れ、その後も腸の痛みを覚えなかったのは、ドクターの腕がよかったからでしょうか。


今回の精密検査を通じて、医療における日本とアメリカの違いを痛感しました。それぞれの国の背景が異なりますから、どちらがいい悪いと一概に言える話しではなく、なかなか難しいです。その中でも一番強く感じたのは、アメリカでは医療もサービス業なんだなあということです。私自身は、高額の腸内洗浄をした上、色々と知ることの多い機会となりました。