アメリカでの出産【入院編(3)】

8月もすでに半ば。日々、赤ちゃん時間に追われている分、毎日が飛ぶように過ぎ去っていくように感じられる今日この頃です。娘の生後3ヶ月を前に、何とか出産入院編を終わらせないとと、やっと本日UPさせていただきます。「アメリカでの出産【入院編】」の最終回です。遅かりし筆に自ら呆れていますが、載せられてホッともしています。ご興味がありましたら、ご一読いただけたら幸いです。


【5月21日<3日目>】
夜中の看護師さん訪問回数が少なくなり、だんだん身体も自由になってきました。朝に来室した看護師さんが「シャワー浴びましょう」と言い、「え、もう?」と思いながらおっかなびっくりで温かいシャワーを浴びました。やればできるもんだ、気持ちよかったです。シャワーから上がった頃、巡回の産婦人科のお医者様が診察に。ざっとホッチキス留めの傷跡を確認し、「今日退院できます」とのこと。夫と私は「へ?」だって、明日退院の予定では?そんないきなり言われても。アタフタ。夫が「主治医からは明日の退院ということに当初から言われている」と説明すると、その女医さんは「そうなの?でも今日でもOKだけど」といぶかしげに退室していきました。この国では入院費が大変に高額なことから(1日10万円といわれています。保険によって実際の支払額は変わります)、皆さん1日でも早く退院したいという背景があります。女医さんは親切心で1日繰り上げ診断してくださったのかもしれませんが、こちらにしてみたら、この状態で帰宅してどうしろというの?といった心境でした。


巡回の小児科医は、私の産婦人科医が紹介してくれた女医さんです。この国では、出産前に子どもの小児科医を決めるのが普通だそうで、我々も自宅近所の小児科医と事前に面談済みでした。しかし、この小児科のお医者様は私が手術・入院している病院とは契約を結んでおらず、病院を訪問して生まれてすぐの赤ちゃんに対応することは不可能とのこと。結果、この病院と契約している小児科医に出産後のケアをお願いし、後日、地元の小児科医に出産後の情報を申し送りすることになりました。小児科医に関わらず、ホームドクターを決めておくことは、患者にとっても医師にとっても安心ですね。


10時から同じフロア内の育児セミナーに出席。新生児のスポンジ・バスや諸注意などの講義を受けました。「スポンジ・バス」というのは、赤ちゃんをお湯に入れたりシャワーを浴びせないで、固く絞ったスポンジやタオルなどで拭くことを言います。アメリカでは、へその緒が完全にとれて乾くまでの1−2週間、沐浴は厳禁ということになってます。


12時を回った頃、知人の女性Kさんが、可愛らしい羊のぬいぐるみを小脇に抱え、病室を訪ねてくださいました。彼女のオフィスは病院のはすむかいにあり、お昼休みを使っていらしたとのこと。新生児室で娘に会った後、足早に帰られました。お心遣いに感謝です。


夕方には、一眼レフのデジカメ(Nikonだったか)を肩にかけ、PC一式が載ったテーブルを引いた昨日の女性カメラマンさんが登場。ちょっといい服を着させた娘を私のベッドに寝かせ、シーツでドレープを作って写真撮影。うまいものです。ただ、モデルである娘は一向に目を覚ます気配がなく、揺すってみたり、手をたたいてみたり、抱いてみたりするものの、とうとう最後まで目が開いた写真は撮れませんでした。頑固だなぁ。ま、しようがない。デジカメを PCに接続し、その場で欲しい画像をチェックして終了。後日、大判写真やらハガキ用写真やらを郵送してくれるそうです。なかなかいいビジネスかと思いました。


今日にはやっと余裕が出てきたので、部屋に備え付けのTVで育児プログラムを視聴。色々なプログラムがいつでも自由に見られるようになっています。これはありがたい。


写真は、左から今日の朝食・昼食・夕食です。メニューには値段の記載がなく、どう請求が来るか分からないものの、厨房の人とのコミュニケーションもとれるようになり、目一杯オーダーすることにしちゃいました。どれも美味しかったです。満足。

朝食(チーズとマッシュルーム入りのオムレツ・ハッシュドポテト・イングリッシュマフィン・桃缶・りんごジュース・アイスティー)/昼食(ポテトスープ・BLTサンド・シーザーサラダ・コールスロー・レモンパウンドケーキ・アイスティー)/夕食(チキンのハニーマスタード揚げ・ホウレン草・ローストポテト・ディナーロール・アップルパイ・アイスティー


【5月22日<4日目>】
本日はいよいよ退院日。まだまだお腹の痛みが残り、数時間おきに看護婦さんに「0」から「10」の数字で痛み度を伝えて薬を処方してもらう状況。でも、随分と体も動くようになりましたし、これはもう時間をかけて戻すしかないんだろうなと思いました。


朝食・昼食でこのホテルのようなレストラン食ともお別れ。よくよく考えてみると、電話一本で食べ物がベッドサイドに届くというのは天国なシステムでした。

朝食(ブルーベリーマフィン・フレンチトースト・ソーセージ・ブレックファーストポテト・レーズンベーグル・フルーツカップ・オレンジジュース・アイスティー)/昼食(シーザーサラダ・ハンバーガー・ポテトスープ・レモンパウンドケーキ・アイスティー


朝食後には、退院に関わる手続きに着手。覚書によると、私は向こう6週間、車の運転をしてはいけないそうです。赤ちゃんがいたらそう運転する気にはならないと思いますが、この町で「運転するな」というのはなかなか勇気あるアドバイスです。お腹の傷口の抜針はどうするのかな〜と思っていると、看護師さんが自ら処置してくださるとのこと。私はベッドに仰向けに寝るのみ、マスクをして抜針グッズを取り出した看護師さんが、慎重に一針ずつ取り外してくださいました。それが全然痛くなくて感激!以前の盲腸の時は、針が食い込んでいて痛かった記憶が鮮明なので。手術から実質3日しか経っていませんから、当然と言えば当然なのかも。傷口もしっかり付いているようでよかったです。


帰り間際には、看護師さんが、赤ちゃん周りにあるあらゆるものを「持って帰りなさい」と渡してくださいました。1本づつ飲みきりのミルク数本、おむつ、スポイト、帽子、靴下、おくるみ、食器用洗剤や私の氷入れまで。ありがたかったです。


アメリカの病院での出産・入院は、日本で経験がないので比べようがありませんが、総じて快適でした。(言葉の壁を除けば) 入院するといつも思うのは、看護師さんは本当に「白衣の天使」だということ。この場を借りて、改めて御礼したいです。ありがとうございました。


【後日談】
帰宅後に体重計に乗ってみると、なんと妊娠時より増加してました!ひぇ〜なんで!?病院食の食べすぎ?そしてジワジワと体全体がむくんできました。妊娠中にはむくみと無縁だったので、「なんで今さら?」と焦り。調べてみると、出産後のむくみもごく普通にあるようです。それから1週間ほど、特に膝から下の太さが一緒の「魔法使いサリーちゃん」になりました。もうパンパン。むくみがとれるのと同時に、体重も自然と減っていきました。人間の体は摩訶不思議です。