摩訶不思議なルネッサンス・フェスティバル。

生まれも在もヒューストンのアメリカ人に勧められ、私の通うカレッジからさらに30分ほど北上した農村地帯で毎年この時期に開催されるという「Texas Renaissance Festival」に、行ってきました。内外からも人がやってくるという1974年から続くお祭りらしいのですが、「ルネッサンス」と言えば、私の中ではまずは「イタリア」が思い浮かぶわけです。なぜにテキサスの片田舎で?どんなフェスティバル?誰が何をするの?という疑問を抱えたまま、お昼前に出発してみました。


[,right]テキサスも秋の訪れ、今日のように暖かい日は半袖でも過ごせますが、時折、紅葉した樹木を見かけます。薄い青空が広がり、鼻歌交じりの気分で車を走らせました。道はひたすら一本道、ブルーベリー摘みをしたあの農場のすぐ近くです。あの時はすれ違う車も少なかったのですが、今回は渋滞こそしないものの車がずーっと先まで連なって走ります。この交通量、尋常でない。皆フェスティバルに向かうとすれば、会場はどうなてしまうのやら。目的地に着くと、係りの人が駐車場に誘導していきます。33回を数えるお祭りなので、誘導方法も非常にスムーズ。私たちは「10」番の駐車場に停めましたが、そのブロックごとに100台以上の車が収まるわけです。うーむ、すごい規模だ。車を降りた私たちが回りを見渡すと、薄絹を斜めにかけてサンダル履きのギリシア人グループや、背中に天使の羽をつけた親子やら、思わず後ずさりしてしまうような装束の人が車から降りてきてぞろぞろと入口に向かいます。もしかして、場違いのところにきてしまった?


2000円ほどの入場券を買って会場に入ると、先ほどのコスチュームはまだまだ序の口でした。ペチコートまで入ったシェイクスピア調のドレスに身を包む夫人と紳士や、おへそ丸出しのセクシーな中近東系ファッション、剣や帷子も携えた完璧な十字軍ファッション、弓矢を背負ったウィリアム・テルたち、ローマ軍、バグパイプを担いだスコットランドのキルト姿、汚れた白っぽいレオタード&裸足でよろけながらパントマイムしている女性、妖精の集団、近寄るのが怖いボヘミアン・ファッションの一群などなど、あんぐり口を開けてしまうような人々がウジャウジャ。「何じゃこりゃ」状態です。
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コスチュームだけでなく、会場は両側に中世の家がギッシリ立ち並び、そのすべてがお店となっています。多いのは、銀細工などのジュエリーショップとコスチューム屋さん。広大な会場には、ドイツ・イギリス・フランス・イタリア・ポーランド料理などの屋台が出ており、食べることに困ることはなさそう。また、アトラクションとしていくつも100人規模のステージが設置され、ベリーダンスやマジック、中世風コント(?)などが毎時繰り広げられています。原始的構造のブランコやメリーゴーランドや射的や弓矢やジャグリング・コーナー、本物の象や駱駝に乗れるエリア、ガラス工芸やワックスアートの鍛冶屋などの実演、ローズ・ガーデンやローマ・ガーデンやギリシア風アリーナなどの憩いの場所もあり、ごった混ぜの古きよき時代の遊園地か、大規模な縁日に紛れ込んだようでした。
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あの町並みは毎年使うんでしょうか。プレハブではないので毎年建て直していたら大変です。衣装+小道具にしても、働いている人も遊びに来た人もそれぞれが大真面目。「コスプレ」と言うにはお金がかかりすぎている。ハロウィーンには使えそうもないし、この機会のためだけに揃えているんでしょうか。その心意気、天晴れです!西洋人が昔のコスチュームで歩いていると、当たり前ですがとても自然に似合っており、普通にタイムトリップしたようです。あー、こういう格好して十字軍遠征にいったんだなとか、ジロジロと嘗め回してしまいました。日本人が江戸村で侍・姫君・商人・町娘の格好をして歩いているようなものでしょうか。彼らの扮装を見るだけでも価値があったと思います。
このお祭り、今年は10/6〜11/25の9時から日没まで、毎土日と感謝祭に開催されるそうです。もし、この時期、ヒューストン近郊にお越しの機会があれば、覗いてみたら面白いかと。さて、冒頭の疑問「ルネッサンスとは?」ですが、直訳の「再生・復活・復興」そのもので、このあたりに最初住んだらしいドイツ系の人が始めた「ヨーロッパの昔に返ろう」という主旨のお祭りではないかと想像していますが、いかがでしょう?
蛇足:後で調べたところ、「ルネッサンス・フェスティバル」というのは全米中で開催されているそうですね。上記オフィシャルサイトによると、その中でも最も規模が大きいのがこの「Texas Renaissance Festival」なんだそうです。それだけ、土地が余っていて、暇人が多・・・アワワ・・・ってことですね。

動画もふんだんのオフィシャル・サイトです。
Texas Renaissance Festival – Tickets and Information