国籍と名前のはなし。

まだ出産時の【入院編】を掲載していませんが、本日も別の話題で。


アメリカで出産すると、その子どもは自動的にアメリカ国籍を所有することになるのですが、これはアメリカが憲法で「出生地主義」を採用しているためです。対して日本は、親の国籍を引き継ぐ「血統主義」を採用しているので、世界中どこで子どもを産んでも、親が日本人である限り日本国籍をとることができます。出生地主義を採用している国は他にカナダ・ニュージーランド・アルゼンチン・ブラジルなど、血統主義の国は中国・韓国・イタリア・スペイン・北欧などです。イギリス・ドイツ・フランスのように血統主義でも条件付で生地主義を採る国もあるそうです。出生地主義は移民受け入れの歴史と関係が深いようですね。


私の娘の場合は、病院が「Birth Certificate(出生証明書)」を郡に登録申請してくれたので、まずはアメリカ人となりました。「出生証明書」というものは、アメリカ人にとっての戸籍に相当するものと考えればいいでしょうか。非常に重要な証明書となります。有名な話ですが、オーストリア出身のアーノルド・シュワルツネッガー氏はアメリカ市民権を得てカリフォルニア州知事となりましたけれど、アメリカ大統領に立候補することはできません。なぜなら、「出生による合衆国市民」という大統領被選挙権の要項に当てはまらないからです。つまり、アメリカで生まれていないと大統領の被選挙権がないということです。(アメリカ人の両親が海外で出産した場合は OK)「アメリカ人」とひと言で言っても、色々な立場があるのですね。


かたや日本国籍は、海外で出産した場合、出生3ヶ月以内に「日本国籍留保」の手続きをする必要があります。領事館に出生届を提出するのですが、日本の本籍地に転送・登録されるまでに2ヶ月ほどかかるので、今の娘は日本人と証明するものがありません。日本国パスポートの取得には、国籍が正式に登録されてから謄本を取り寄せて申請することになるので、さらに数ヶ月要します。何らかの理由で、急遽アメリカを出国しなければいけない事態に備えて、近々、写真を撮って、アメリカ国パスポートを申請する予定です。これまた、少々面倒ですが。


国籍といえば、名前。日本人には馴染みのない「ミドルネーム」ですが、それもそのはず、日本国籍では「ミドルネーム」を許していないということを今回初めて知りました。欧米人にとってのミドルネームはどんなものか?ですが、家族に伝わる名前をつけたり、母親の旧姓からとっていたり、クリスチャンネームだったり、単に二つ目の名前だったり、由来は様々なようです。そういえば、昔の日本の武家でも「字」や「諱」を含めてやたら長い名前がありますものね。私の友人達を見てみると、ミドルネームをニックネームに使っていたり、ファーストネームとミドルネームを常にフルで呼んでいたり、全然使っていなかったり、人により様々です。私たちも娘のアメリカ国籍用にミドルネームを付けたのですが、基本的にはこちらでもファーストネームで呼んでもらっています。娘が大きくなって必要ができたら、ミドルネームを使ってくれたらいいな、くらいの感覚です。


蛇足ですが、「あだ名」「ニックネーム」について一言。こちらの人は初対面で「私を○○と呼んでね」と自己紹介する人が多いです。最初はそれがとても不思議でした。夫も会社で、まずは「呼び名を決めてくれ」と指示されたそうです。日本だとニックネームは周りの人が付けるものでないですか?友人が呼ぶあだ名が、だんだんと市民権を得て広まり、定着していくというか。。。今でも、自分から「あだ名」を指定するのは気恥ずかしいような、おこがましいような気がしています。「私を女王様とお呼び!」みたいで。