白熱のSuper Bowl XLIII。

本日はアメリカンフットボールの頂点を争う、スーパーボウルの日でした。アメリカにおけるすべてのスポーツの中でも最も注目される試合です。とはいえ、国内のどん底不景気を反映して、試合が行われるフロリダ州タンパでの各種パーティーが減ったとか、高額のTV中継合間のCM枠が3日前でもまだ売れ残っているとか、事前の盛り上がりは例年ほどではなかったのかもしれません。が、実際の試合は、「アメフト=面白くない」と刷り込まれていた私をしても、大変に感動・興奮する素晴らしい内容でした。ブルース・スプリングスティーンのハーフタイムショーなんて目じゃない!


試合経過は詳細な情報源に譲るとして、何が面白かったといえば、両チームが得意な面を存分に発揮したこと、それによりシーソーゲームになったことですね。守備が強いというピッツバーグ・スティーラーズはミスなく、そつのない攻撃と守備で先制点。攻撃重視のアリゾナ・カージナルスは尻上がりに調子が上がってきて、後半は見事な連続タッチダウン。第4Qに入ると、ジリジリと試合終了時間がプレッシャーを与えるので、1プレーごとにコーチ、選手達の表情が変わります。観ているこちらもドキドキ・ハラハラ。結局、残り35秒でオバマ大統領もファンというスティーラーズが大逆転を演じ、激戦の幕を閉じたのでした。最後のタッチダウンを決めたWRサントニオ・ホームズがMVPを獲得したのですが、そのパフォーマンスが美しかった!QBベン・ロスリスバーガーの「ここしかない」という針の穴を通すようなパスを、両手からつま先までピーンと伸ばしてキャッチした様子は、さながら体操選手の床運動かバレエのポーズのよう。一瞬の静止のあと、その姿勢のまま彼はフィールド倒れていったのでした。

ほかにも見所はありました。負けたカージナルスのスタイリッシュな長髪スター選手、WRラリー・フィッツジェラルドのジャンピング・キャッチや快速ぶりも嬉しかったです。インターセプトからの、スーパーボウル史上最長の100ヤードリターン・タッチダウンもありました。サッカーで言えば、間一髪でシュートを防いだゴールキーパーが、そのまま相手ゴールに蹴り込んだようなもの(?)ですよね。こんなマンガのようなプレーをプロでも見られるんだなぁと驚きました。


昨年のスーパーボウルは何だったのかというような気分にさえなった、楽しかった今年のスーパーボウル。よくよく考えてみれば、スポーツ観戦や観劇やコンサート鑑賞などをして、いつも「感激!」するわけではないのですよね。大方は「まずまず」「そこそこ」だったり、時には「時間やお金を返してよ」と憤ったり。でも、たまさかに、自分の想像を超えるパフォーマンスが繰り広げられたりすると、その成功体験はしっかりと脳に刻み込まれますね。その余韻が忘れられなくて、その体験をもう一度味わいたくて、たとえ空くじを引く可能性が高いと分かっていたとしても、何度も観たり聴いてしまうのだなと思います。これはライブ・パフォーマンスだけでなく、読書や料理や創作活動や日常生活のささいな出来事にも共通して言えることで、目から鱗の出会いがあるからこそ、人生やめられない!んですよね。