歴史的な瞬間。

中部時間の夜10時00分、見ていたCNNニュースに「BARACK OBAMA ELECTED PRESIDENT CNN PROJECTION」というテロップが踊りました。「え?なんで??もう???」アメリカは東から西にかけて5時間の時差があり、選挙の投票を締め切る時間も各州・各都市でまちまちなので、選挙結果は東海岸の州から五月雨式に集計されていきます。他州の選挙結果がまだ選挙を継続している州に影響しないのかな?という日本人的な違和感はありますね。私たちは7時過ぎからTV前に陣取って、各局の出口調査による予測獲得議席数を見守っていました。9時50分くらいまでで、各局の報道するオバマ氏の獲得議席は200席前後、マッケイン氏は130席前後。過半数の270議席にはまだ数がありました。10時という時間は、大票田カリフォルニア州を含む西海岸の投票締め切り時間。あと数秒で10時になろうとする時、ニュースキャスターがおもむろに、「This is the moment」と言いました。そして10時ジャスト、西海岸各州の開票率0%で、「大統領、当確!」が出たわけです。いや〜ビックリしました。出口調査というのはそんなに信憑性が高いものなのか〜!?キャスターはすでに結果を知っていたのですね。


オバマ氏が第44代アメリカ大統領に決まった瞬間は、やはり心拍数が上がりました。この10ヶ月、傍観者のミーハー根性で大統領戦を見守っていましたが、まさかまさか本当にアメリカ建国232年目にして初めてのアフリカ系大統領が誕生するとは思っていませんでしたし、その日を自分がアメリカで迎えることなど信じられませんでした。オバマ氏の選挙戦はインターネットの導入やボランティアの力が特徴的だったそうですが、草の根運動を信じたオバマ氏の政治信条と時代の変化がこの勝利をもたらしたのでしょう。シカゴの公園に集まった10万人を超える人種の異なる老若男女が、涙と笑顔にあふれかえっていた様子を見て、そう思いました。


その観衆の中でも、カメラが捉えたジェシー・ジャクソン(Jesse Jackson)氏の涙は印象的でした。彼はかのキング牧師公民権運動を闘った黒人カリスマ指導者です。かつて大統領候補に挙がったこともありましたが、最近は影が薄く、オバマ氏へ暴言を吐いて謝罪したり、色々な問題を抱えている方です。ただ、オバマ氏の演説を見守る今夜の彼の涙は、アメリカにおける黒人の思いを象徴した、嘘のないものに見えました。


マッケイン氏は、オバマ氏の演説に先立つこと30分ほど前、敗北の演説を地元アリゾナ州フェニックスの屋外で行いました。終始笑顔、オバマ氏へ祝意を述べ、自分の失敗に言及し、スタッフや家族をいたわった演説でした。こういった爽やかな「敗者の弁」はアメリカのいいところだなと思います。負けたことを公に潔く認めないと、当事者もそれを見守る人もなかなか先に進めませんよね。マッケイン氏の演説はすばらしいものだったと思います。


さて、わがテキサス州はガチガチでマッケイン氏勝利。カリフォルニア州に次ぐ全米2番目の大票田でありながら、大統領戦の後半は両陣営ともに全く注力しなかったほどの共和党地盤のテキサス州ですから、結果はさもありなんです。メキシコに国境を接したヒスパニックや黒人が多い郡や、大都市ダラスなどを除いて、共和党の圧勝でした。ちなみに、ヒューストンのあるハリス郡は僅差でオバマ勝利でした。