映画"W."。

大統領選挙の興奮も落ち着き、ニュースでは現大統領から次期大統領への引継ぎが着々と報道されています。それにしても、ここ最近のブッシュ現大統領への逆風はものすごいものがありますね。「悪の権化」とばかりに民主党オバマ氏はおろか共和党のマッケイン氏にも否定され、今週発表されたCNNの大統領不支持率は76%を叩き出し、第二次大戦後最悪を記録したとか。これまでの実績の報いではありましょうが、彼もまた、4年前にアメリカ国民から支持されて大統領になったということ、かつて90%という支持率を誇ったという事実も合わせて、アメリカ人には忘れてもらいたくないですね。と、私が偉そうに言える立場にはないですが。かくいう私も、ブッシュ家のお膝元ヒューストンに来るまでは「なんであんな人をアメリカ人は大統領にするのだろう?理解不能。」と思っていました。が、最近は何となくあのメンタリティも理解できるようになってきてしまったような、別の意味での不安感も持っています(苦笑)。


で、本題の映画"W."です。タイトルを彼のミドルネームからとったことから分かるように、現アメリカ大統領、ジョージ・ウォーカー・ブッシュの生き様を描いた映画です。あ、ちなみに"W"は「ダブリュ」と発音してはいけません。カタカナで書くと「ダビア」に近い発音です。テキサス訛りのようですね。この時点で、ちょっとコケにされているような。。。監督は「プラトーン」や「JFK」のオリバー・ストーン氏。選挙戦終盤戦の10月半ばに、反支持者による現職大統領の自伝的映画が公開されてしまうアメリカってスゴイなぁと思いましたね。オリバー・ストーン氏はこの映画について、事実をありのままに描いた、というような談話を残していましたが、早くからオバマ氏支持を表明していた監督がどんな映画で彼をサポートするのか、非常に気になっていました。


というわけで、選挙の結果が出る前の週に映画館に出向いてみたわけです。痛烈な現政権批判の映画になるのかと思いきや、まあ実際なってはいるのですが、現ブッシュ大統領の「人となり」が、どう行動に反映されていくのかがよく理解できる作品でした。(英語に不安があるので雰囲気で感じただけですけど) そして、私がヒューストンに来てから抱いている彼に対するイメージと重なるものがありました。本当に、典型的な「テキサン」なんですよね。きっと近所に住んでいるおじさんなら、親しみの持てる「いい人」なんだろうなという。。。大統領パパ・ブッシュとの確執や、野球への憧れ、アルコール依存症からキリスト教への帰依など、非常に行動パターンが分かりやすい。ただ迷言や知識不足も一般人なら問題ありませんが、それが一国の大統領となると・・・ほか、そっくりさんを揃えた各閣僚を演じた役者さんたちも天晴れでした。あと、テキサスを知っている人にはクスリと笑える飲み物・食べ物・文化が大いに出てきましたよ。


ブッシュ大統領の元側近が、この映画にはいくつかの真実がある、と発言したことで、余計にこの映画の信憑性が高まった気がします。残り少ない任期、彼はどんな思いでホワイトハウス生活を送るのでしょうか。