アメリカの底力?

またまたお久しぶりになってしまいました。みなさま、お元気ですか?

昨晩はTVで、次期大統領候補、共和党のジョン・マッケイン氏と民主党バラック・オバマ氏によるディベートが開催されました。今回が3回目で最後のディベートとなります。過去2回の2人のディベートと、副大統領候補、共和党サラ・ペイリン氏と民主党ジョセフ・バイデン氏のディベートも含めて、私にとっては4回目のディベート視聴となりました。まあ、実際のところ英語はほとんど分からないので、「見て聞く」というより「眺める」といった方が正しいのですが。両者がお互いを非難する様子もありましたが、結果は、すべてのディベートにおいて民主党オバマ陣営優位と出たようです。


さて今晩は、CNNのチャンネルに合わせていたところ、チャリティー・ディナーの生中継が放映されました。なんと、昨晩舌戦を闘わせたマケイン氏とオバマ氏が、揃って白蝶ネクタイにブラックタキシードという盛装で、間にカトリック司教を思わせる方を挟み、同じテーブルに座っているではありませんか!それも終始にこやかに。ほかにもヒラリー・クリントン氏や政界の有名どころと思われる人々が皆盛装して(男性は全員白蝶ネクタイ)晩餐会に参列しています。何でも、"Al Smith Charity Dinner"という毎年開催される晩餐会らしく、著名人がスピーチするのが恒例となっているようです。


The Alfred E. Smith Memorial Foundation


今年は、もちろんマッケイン氏とオバマ氏。昨日のシリアスでピリピリした雰囲気のディベートから打って変わって、30秒ごとに会場が沸くような演説をそれぞれ15分ほど披露しました。詳細の内容を拾うことは当然できませんでしたが、明らかに昨日のディベートをネタにしたような自虐的なギャグやブラック・ジョークの連発。本人達が自らパロディーを演じてしまうんですから、これほど面白いことはありません。マッケイン氏の演説の時は、オバマ氏椅子から落ちそうになるほど笑い転げていました。マッケイン氏もオバマ氏のジョークに手を叩いて大喜び。時々2人から話を振られるヒラリー氏も、口を開けて大笑いしながら拍手喝采。会場は大いに盛り上がり、終始笑いに包まれていたのでした。


二晩続けて、それも表と裏の大統領候補者のスピーチを聞いた私の感想は、「これは日本人に真似できない、参った」でした。日本の政治家も頑張ったら、もしかしたら昨晩のような真面目な政策論争はできるかもしれません。しかし、闘いのまっ最中、今日も選挙活動でお互いを非難しているような中で、今晩のような、見ている人皆が笑ってしまうような、時には自らをも落とすような旬のネタをちりばめたユーモアのセンス溢れた演説はできないと思います。空前の経済危機、世界の求心力を失いつつある昨今のアメリカですが、今を笑い飛ばすことができるメンタリティーに、アメリカの底力を見た気がしました。