恐竜化石や"Lucy"とクリスマス。

恐竜化石とディナー

本日は、夫の会社のクリスマス会兼忘年会(正式には違う名前ですけれど)に行ってきました。配偶者またはBFやGFのゲストのみの招待で、子どもはNGというところが欧米っぽいです。会場は、何とダウンタウン南にある「自然史博物館」!もちろん閉館後のパーティーなのですが、一体どうなることやら。


服装はフォーマルを要求されたので、思案の末、着物で行くことに決めました。恥ずかしながら、これまでの人生で着物を着た回数は片手で足りるくらい。もちろん自分ひとりで着付けしたことなどありません。渡米が決まった後、義母から3回ほど手解きを受けて、船便には義母に揃えてもらった道具や着物一式ほか、母の着物や帯、着付けの本2冊を乗せて、とりあえず、本当に文字通り「とりあえず」こちらに持ってきました。


今週は月〜金曜日、暇に任せて毎日着付けの練習。日本で2月に習った手順など、悲しいくらいに忘れていました。紐も帯の類も、「これは一体何のために存在するのか?」と自問自答の連続。「やっぱりダメだー。洋装にしよう」と何度断念しかけたことか。ただ、曲がりなりにも毎日着続けていると、何となく着物の仕組みが分かってきて、自分の体系に合わせる余裕が出てきました。本の写真の説明では意味不明のアクションも、添付DVDの動画で「なるほどー」と納得できました。着付け本は、DVD付きが断然おススメですね。あとは、追い詰められた状況が功を奏しました。着付けてくれる存在がないからこそ、諦めずに取り組めたと言えます。本番の今日も、15分くらいで着物を着てしまった夫(男性着物は女性より随分と楽そう)に確認してもらいながら「できた!万歳」と思った瞬間、帯がズルッと落ちてきて真っ青。「外で恥をかいて着物を覚えていくものよ」という義母のアドバイスを頼りに、冷汗をかきながらもう一度結びなおして、ヨレヨレと車で会場に向かいました。


夕暮れに浮かび上がる自然史博物館に入ると、恐竜の展示がドーンと出迎えてくれました。「水平リーベ僕の船・・・」の元素周期律表の実物モデル展示もあります。骨骨の恐竜が立ち並ぶ中で、ドレスアップした人間がカクテルサービス&ビュッフェ・ディナーを楽しんでいる様子は、何ともシュールな感じです。アメリカでは、博物館や美術館をパーティー会場に使うことがよくあるそうで、この趣向は面白いと思いましたね。日本でも公共の美術館や博物館をイベントで貸し出すことはあるんでしょうか?


しばらくすると、アナウンスで、「現在アメリカを巡回している『アウストラロピテクス・ルーシー展』も是非ご覧ください」とのこと。同館では、1974年エチオピアで発見された人間の祖先と言われているアウストラロピテクスの化石人骨の特別展が開催されており、これは非常に貴重な化石人骨だそうで、というのも350万年前の女性骨格の40%を回収することができたからなんだそうですが、幸運にもその展示をゆっくりと見学することができました。(ルーシーという名は、当時発掘チームがビートルズの "Lucy in the Sky with Diamonds"を流していたことから付けたそうです。)


着物の方は、幸いなことに最後までそう着崩れず、夕食も楽しむことができました。100名ほどの出席者の中、日本人は私たち夫婦のほかにお一人だったので、拙い着付けも(おそらく)気付かれなかったと思います。日本のパーティーよりはずっと気が楽です。英語ができなくても、民族衣装は会話の端緒にはなるので、ある意味「楽」でした。


去年の今頃は、まさか一年後に、ヒューストンの博物館のクリスマスパーティーで着物を着て、貴重なアウストラロピテクスの化石を見ることになるとは、思ってもみなかったです。(そりゃそうだ) 肩こり・腰痛・筋肉痛は残りましたが、1年締めくくりの面白い経験ではありました。