真夏のコワい話。

アメリカに住んでいる以上、最近はファーストフードをかなり食べている以上、避けてはいけない本を読みました。いやー、怖い内容です。妖怪やミステリーでないから、余計に恐ろしいです。読み進めながら考え込んでしまいました。

おいしいハンバーガーのこわい話

おいしいハンバーガーのこわい話

フライドポテトの美味しさは「香料」(「人工香料」と「天然香料」は成分が実は成分が同じで、作る過程の違いで区別されることが多いそうな)や「着色料」に因るところが大きく、パテやナゲットの材料となる牛や鶏がいかに劣悪な環境下で発育しているか、清涼飲料が体にどれだけ悪影響を与えているか、目を背けたくなるような現実が羅列されています。


中でも驚くのは、アメリカ式ビジネスの徹底した実利主義が、人々の生活を変え、町を変え、世界を変えているという、現代社会の構造そのものです。成功するビジネスモデルは資本主義の目指すところですが、子どもをターゲットとした販売戦略、親の目の届かない学校に入り込んで、すでに子どもの生活と抜き差しならない関係にある実情は、なんとも許せない気がします。ファーストフードの象徴ともいえるマクドナルドの戦略は、敬愛するディズニーの戦略を模倣したものというのも衝撃的ながら納得できます。(今日では、両者は袂を分かったようですが)


ただ、一概に、「ファーストフードはNG」、「全く口にしてはいけない」かというと、それはやはり程度問題で、個人の意識が重要なのだと思います。その証拠に、本の後付に著者エリック・シュローサーのプロフィール紹介がありまして、そこには「好きな食べ物はフライドポテト、チーズバーガー、チョコレートシェイク」と書かれていました。そもそもファーストフードに限らず、「今日私たちの口に入る食べ物はどのくらい信用できるか」、という問題にまで行き着くのでしょう。


本書は「ファーストフードが世界を食いつくす」をティーンエイジ向けに書き直した本です。作者の意図と同じく、若い人にこそ読んでもらいたい本ですね。私も、ファーストフードの意味を考えながら、週末にファーストフードのお世話になる予定です。