お見舞い。

夫は出張中なので、私一人里帰りしています。数日前に入院した大叔父を、両親と訪ねました。

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残念ながら、大叔父はこの四日後に帰らぬ人となりました。姪である母が、大叔父が生前に母校文集へ寄稿した文章コピーを大叔母からもらったので、私も孫コピーさせてもらい、昭和とともに人生を歩んだ大叔父の激動の半生を初めて知ることとなりました。世の中のこの世代の方は皆、それぞれドラマチックな背景を背負っていらっしゃるのでしょう。のほほんと生きている私には、衝撃でした。


以下は、上記寄稿文で、「私の好きな詩を二つ」として挙がっていた、その一つです。

「ソ満国境の雪原にて」
言うなかれ 別れを 世の常を また 生き死にを
北満の はるけき果てに 今や はた 何をか言はん
熱き心を 捧ぐる者の 大いなる 胸を叩け
満月を 盃に砕きて 暫し ただ 酔いて呼べ
我が征くは 四国の山 君はよく 虎頭を守れ
この夕べ 相離るとも 輝かし 北斗星を いつの夜か また ともに見ん
言うなかれ 君よ 別れを
見よ 空と氷雪 舞うところ 黙々と 雲はゆき 雲はゆけるを


原典は、詩人・大木惇夫「戦友別盃の歌−南支那の船上にて」という著名な戦中詩です。細かい言い回しや、固有名詞が原典から変えられていますが、おそらく、戦中は、あらゆる場所で自らの境遇に引き寄せた「戦友別盃の歌」の「替え歌」が生まれ、歌われたのだろうと想像しました。1996年の夏、向田邦子原作・久世光彦監督で「言うなかれ、君よ別れを」というTVドラマが放送されたそうです。機会があれば、見てみたいです。

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