"RENT" in Houston !!!

RENT プレイビル

日本で観てから丁度1年ぶりになるでしょうか、"Broadway Accross America"のミュージカル"RENT"をダウンタウンの"Hobby Center"で観てきました。おそらく同じメンバー&スタッフで12月の日本公演に臨むはずなので、日本よりちょっとお先に楽しませてもらったことになります。パワフルかつ魅力的な作品だと再認識しました。今回も映画版で予習していていたのが正解でした。舞台ならではのスピーディーな展開・臨場感を味わえたのは、細かいストーリを拾って(必要なら補足・創作して)いる映画であらすじを理解していたからでしょう。休憩を挟んで2時間半、飽きることなく舞台に集中できました。


席は2階の"MEZZANINE RIGHT"。まず素晴らしかったのが音。音響設備は完璧、ボリュームも大きすぎず小さすぎず、高い天井まで突き抜ける音でした。結果、色とりどりの歌そのものがスコーンと頭の中によく響きました。もちろん役者の声もよかった。今回のアメリカ巡業公演キャストは、アメリカの人気TV番組"American Idol"で上位入賞した2人がロジャー役とコリンズ役をしとめたとあって、もっぱらそこに興味が集中していた模様。観客の中でもこの2人を目当てに来た人が多かったかもしれません。この2人もよかったですが、マーク役の安定感はもちろんのこと、私の中ではエンジェル役とモーリーン役が特に印象に残りました。それにしても、ストーリーテラー的な主役マーク演じる役者さんの声は、万国共通どうして皆似かよっているんでしょう?


アメリカで"RENT"観劇しての発見は、「笑いが多い話」ということ。え?と思うシーン、たとえばロジャーの家を訪ねたミミがろうそくの火を点けてもらう場面では何度も爆笑が起きました。その後も、断続的にクスクス笑いが続き、それはラストシーンのとあるセリフででも。そうか、このミュージカルは深刻だけでなくて笑える話なんだと理解しました。もちろん、だからこそ、泣けるシーンは心から悲しかったです。


発見その2は、舞台は映画より相当に過激だなぁという発見。去年の日本公演では見落としていたのかもしれませんが、英語がすべて理解できない私でさえもかなりブラックなパフォーマンスやセリフ満載だと思いました。そのせいかどうかは分かりませんが、休憩に席を立った私たちの後ろの5人連れくらいの団体さんは、二幕目に席に戻ってきませんでした。白人おじいさんがいたのは覚えています。もし敬虔なクリスチャンだったりしたら、ちょっと耐えられなかったのかも。あくまで推測ですが。しかし、後半を見ずしてこの作品は成り立たないのに、もったいない!


とはいえ、観客は老若男女すべての層を網羅していました。若い女性、それも学生風の10代〜20代のドレスアップした華やかな女性陣が多かったですね。こんなにお洒落度の高い人たちを見たのはヒューストンに来て初めてだったかも。こういったミュージカル作品では日本だとなかなかお目にかからない観客層、歌舞伎座などに似合いそうな年配ご夫婦や車椅子の高齢なご夫人なども随分といらっしゃいました。ミュージカルは、アメリカ人の心のふるさとなんだろうな、と思いました。また、すべてが終わったあと、割れんばかりの拍手の中、1階から3階までほぼ同時にスタンディング・オベーションになったのを見て、「いいものはいい」と素直に行動に移すアメリカ人的潔さが、とても清々しかったです。脚本・音楽・歌詞すべてを手がけたジョナサン・ラーソンの天才ぶりに、改めて舌を巻いた"RENT"公演でした。